素敵な思い出は、もう一度幸せになるチャンス。
エリザベス二世
これは、とある夏の日、とあるまちの公園でのスナップ。
みんな各々が陣取った場所で降り注ぐ太陽の恵みを楽しんでいる。
わたしも公園が好きだ。何するでもなく、ただただ歩き続けるわたしを決して拒まない場所。土に吸い付いていく足の感覚がとても心地よいのは、みんないつか土に帰っていく運命を身体が知っているからだろうか。
ひとつの時空にたまたま包み込まれ運命共同体となった人間も虫たちも、同じ水滴を吸いながら未来に向けて何かを一緒に模索している。今を夢中に生きている。
「毎日連れてったわよ」
そういつも母に言われて育った。
もちろん覚えてないけれど、きっと毎日毎日公園にいたんだと思う。
だから大人になって来る公園は、懐かしさというより、自然な日常を再び呼び起こすための装置。都会のスピードでずれ落ちたあばら骨を一本一本拾い、またはめ込んでは人間の二足歩行を取り戻す場所。一歩、また一歩。
「来月から南仏に行くの!」とバギーを押しながら、水玉のドレスを着たカーリーヘアーのママはスマホで話し続ける。
「ボストンまでって何時間だっけ?」散歩するパパ友が作戦会議している。
そしてわたしと友人はいつでも食いしん坊。「ベネズエラでは朝ごはん何食べるの?」
人のイマジネーションをどこまででも遠くへ飛ばしちゃう公園は、きっと宇宙空間なんだね。

