創造するには、暇でなければならない。
—マルゲリータ・ミッソーニ
久しぶりのミラノに降り立ち、東京と比べて思うことは、なんと夜道が美しいことか。街灯の高さか明るさか、それとも木々が描く影の模様か。とにかく明暗の演出がとてもドラマチックで、あそこの次の角で恋が生まれそうとか妄想してしまう。それも街路地の安全を損なわずに光の芸術が緑とともにふんだんに盛り付けられている街中では、日々の移動や帰宅が楽しい。
人の動きや街の変化を絶妙に紡ぎ出す、道路や交通路線、その脇の散歩道、ベンチ、公園、すべてがまとまり過ぎず、バラバラでもなく、こんなミラノを散策するのは本当に心地が良く、またちょっとしたサプライズにも遭遇できる。だからか、意外なところにぽつっとある店やカフェ、歴史の名残を前に立ち止まったりして、いつもの散歩でも好奇心は尽きない。動くこと自体が魅力的な街は出会いや別れの偶然を生み出し、時代を超えていつまでも再生し続ける地下熱みたいなエネルギーを蓄えているのかもしれない。

